アピタ知立ファミリー歯科・矯正歯科です🦷
本日は舌磨きの重要性をお話します🍀
舌の役割と舌苔(ぜったい)
舌は味覚を感じるだけでなく、発音や咀嚼、嚥下にも欠かせない器官です。その表面は「舌乳頭」と呼ばれる凹凸構造になっており、食べかすや剥がれ落ちた粘膜細胞、細菌などが溜まりやすい性質を持っています。これらが白色や黄色に見える「舌苔」となり、口腔内環境にさまざまな影響を及ぼします。舌苔が厚く付着した状態は単なる見た目の問題にとどまらず、健康リスクにも直結するため、舌の清掃=舌磨きは非常に重要だとされています。
舌苔がもたらす問題
- 口臭の原因
舌苔は口臭の最大の原因のひとつです。舌表面に住み着いた嫌気性菌が、タンパク質やアミノ酸を分解する過程で「揮発性硫黄化合物(VSC)」という強い臭気成分を発生させます。これが「生ごみ臭」や「腐敗臭」に似た不快な口臭の原因となります。歯磨きやうがいをしても改善しない場合、舌苔が原因であるケースが多いのです。 - 味覚障害
舌苔が厚く付着すると、味蕾(みらい)と呼ばれる味覚を感じる器官が覆われてしまいます。その結果、味が感じにくくなったり、味覚の感度が鈍る「味覚障害」が起こることがあります。高齢者では特にこの傾向が強く、食欲低下や栄養状態の悪化につながる恐れもあります。 - 全身疾患への影響
舌苔は細菌の温床となり、誤嚥性肺炎のリスクを高めます。特に高齢者や介護を受けている人では、舌に付着した細菌が唾液と一緒に気管へ流れ込むことで肺炎を起こす可能性があります。日本の高齢者における肺炎死亡率の高さを考えると、舌磨きは全身の健康を守るためにも重要なケアと言えます。
舌磨きの効果
舌磨きを適切に行うことで、次のような効果が期待できます。
- 口臭の改善・予防
- 舌の清潔維持による味覚の正常化
- 食欲や食事の楽しみの回復
- 誤嚥性肺炎などの感染リスク軽減
- 口腔内環境の改善による全身健康のサポート
つまり、舌磨きは「口臭対策」だけでなく「生活の質(QOL)向上」「健康寿命延伸」にも直結する重要な習慣なのです。
正しい舌磨きの方法
ただし、舌はデリケートな粘膜組織のため、強い力でゴシゴシ磨くと傷がつき、かえって細菌の温床となることがあります。正しい方法を守ることが大切です。
- 専用の舌ブラシや舌クリーナーを使用
歯ブラシで代用すると毛先が硬く、粘膜を傷つけやすいので推奨されません。舌磨き専用のやわらかいクリーナーを用いるのが望ましいです。 - 優しく、奥から手前へ
舌の奥から前方に向けて、軽くなでるように動かします。強く押し付ける必要はなく、数回程度で十分です。 - 1日1回、朝に行うのが効果的
就寝中は唾液分泌が減少し、細菌が繁殖しやすいため、朝起きた直後の舌は舌苔が最も多い状態です。朝の歯磨きと一緒に舌磨きを行うと効果的です。 - 補助的にマウスウォッシュを併用
舌磨き後に殺菌作用のある洗口液を使うと、口腔内の細菌を減らし、清潔を長持ちさせられます。
注意点
- やりすぎは逆効果:1日に何度も強く磨くと、舌の乳頭が傷つき、逆に舌苔がつきやすくなります。
- 嘔吐反射に注意:奥まで入れすぎないようにし、舌の中央〜前方を中心に清掃します。
- 舌苔が厚すぎる場合:自己ケアでは取り切れないこともあるため、歯科医院でのプロフェッショナルケアを受けるのも有効です。
最後に
舌磨きは、口臭予防だけでなく、味覚の維持、誤嚥性肺炎予防、さらには全身の健康にも影響する非常に重要な習慣です。歯磨きと同じくらい意識されるべきですが、実際には十分に浸透していません。正しい舌磨きを毎日の生活に取り入れることで、口の中だけでなく体全体の健康を守ることにつながります。清潔な舌は、食事の楽しみや会話の自信にも直結し、生活の質を大きく向上させるといえるでしょう。
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