歯の神経が死んでしまった時、なぜ抜随しないといけないのか？！
歯の中の根っこの治療を経験している方も多いと思います。

歯の内部には「歯髄　」という神経と血管が通る大事な組織があります。歯髄は痛みを感じるだけでなく、歯に栄養を届けて丈夫に保つ役割を持っています。しかし、むし歯が深い層まで進行したり、強い打撲を受けたりすると、歯髄が炎症を起こし、強い痛みが出ます。炎症が続くと血流が途絶え、最終的に歯髄が壊死して「神経が死んだ」状態になります。

神経が死ぬと痛みが消えることがあるため、「このままで良いのでは？」と考えがちですが、これは非常に危険です。歯髄が死ぬと血管の供給がなくなり、歯の内部は細菌にとって繁殖しやすい密閉空間になります。体の免疫も届かないため、細菌はどんどん増えていき、やがて歯の根の先へ広がります。その結果生じるのが根尖性歯周炎で、根の先に膿がたまって骨が溶けたり、頬が大きく腫れることもあります。

さらに補足すると、神経が死んだ歯は次のようなリスクもあります。

① 歯が黒ずむ・変色しやすい

血流がなくなると歯の内部のたんぱく質が変性し、時間とともに歯が暗く見えることがあります。

② 歯がもろくなり、割れやすくなる

歯髄の血流が絶たれると歯の水分量が減り、乾燥したような状態になります。そのため強い力がかかった時にヒビが入りやすく、歯根破折を起こすとほぼ抜歯確定です。

③ 慢性的な炎症が続くことで全身へ悪影響を及ぼす可能性

膿や細菌が放置されると、慢性炎症が続き免疫に負担がかかったり、まれに全身症状を引き起こすこともあります。

これらのリスクを取り除き、歯を守るために行うのが抜髄（ばつずい）や根管治療です。死んだ神経と細菌を徹底的に除去し、内部を消毒、薬で密閉することで再感染を防ぎます。この治療によって歯は痛みの原因から解放され、長期的に機能を保つことができます。

つまり、抜髄は「神経が壊れたから取る」という単純な話ではなく、

放置した場合に起こる重いトラブルを防ぎ、歯を残すための最善の処置なのです。



これは歯に大きく力がかかる矯正治療でも起こり得てしまいます。
歯が黒っぽく変色している、熱いもの冷たいものが両方とも沁みる、何もしなくても痛い、ひとつでも思い当たる点がありましたら、ご連絡ください。

何かわからないこと、ご不明点ございましたら、いつでもお聞きください。
皆様のご来院お待ちしております。